八田先生と久保利先生の東芝とあらたへの批判に対する意見

アルテからのお知らせ会計監査の実態

八田先生と久保利先生があらたを批判されています。

八田先生は、東芝の決算について、そもそも内部統制がない状況で、監査を引き受けたのが間違っているとコメントされています。この点については、内部統制に不備がある状況で、適正意見がでるケースはこれまでにもあります。特に決算財務報告プロセスに不備がある場合です。簡単にいうと経理部門の内部統制が不十分な場合です。今回の論点になっている減損判定は、決算財務報告プロセスに該当するものです。

決算財務報告プロセスに内部統制上の不備があった場合、今回のように減損処理が、社内では処理されなかったとします。しかし、監査の過程で減損の必要性が判明し、最終的な決算書では適正な減損処理がされたような場合には、内部統制に不備があっても、適正意見を出せることはあるはずです。

もう1点、あらたは監査を受けるべきではなかった、あるいは意見不表明をするべきであったという点についてです。意見不表明の場合、おそらく上場廃止は免れないでしょう。その場合に、株主からあらたが訴えられる可能性があります。直近の決算が正しいと判断している監査法人が、そのリスクをうけるべきなのでしょうか。

そして、その状況の企業を監査法人不在が理由で、上場廃止させるべきなのか、疑問です。監査法人の責任を問う前に上場廃止にさせなかった取引所の責任を問うべきではないでしょうか。監査法人には、強制調査権もなく、そもそも不正を完全に防ぐ、発見するという義務はありません。

この論点については、こちらの記事(http://artepartners.com/audit/7530)でも触れているように、東芝そのものと前任監査人の新日本監査法人の判断を徹底的に調査する必要があると考えています。