監査制度改革で見逃してはいけないポイントは監査報酬の日米差

アルテからのお知らせ会計監査情報

監査制度改革が進んでおり、粉飾決算を防止に生かすべき、という記事がありました。詳しくは以下のリンクをご覧いただければと思います。もちろんこの記事にある内容に異論はありません。

監査の精度に日米差もあるでしょうし、これを是正することももちろん重要です。ここで見逃してはならないのが、監査報酬の日米差です。

2017 年版上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書(https://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/about/news/files/0-51-0-2-20170518.pdf)のP.38から引用します。

****以下、引用***
[図表 20]から判るように、2015 年度の監査報酬の平均(中央値)は、アメリカの 230.25 百
万円(79.50 百万円)に対して、日本は 61.52 百万円(30.00 百万円)である。したがって、日本
の監査証明業務報酬とアメリカの監査報酬の比率は 1:3.74(1:2.65)となる。前年度の比率が
1:3.73(1:2.65)であったことから、日米の監査報酬格差は、平均値では若干拡大し、中央値は
横ばいであることがわかる。いずれにしても、アメリカの上場企業の監査報酬は、日本企業の 2
倍ないし 3 倍に相当する状況にある。
***引用、ここまで***

少なくとも米国の上場企業は、日本企業の2−3倍の監査報酬を支払っています。これは企業が負担するというよりは、投資家が負担するものでしょう。それだけ、米国の監査は会計士の時間単価も、かける時間も日本よりも長い、ということです。制度改革のなかでは、その監査報酬の負担についてもあわせて議論をする必要があるはずです。