13.重要性の基準値とは?

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 重要性の基準値というのは、全体で一体いくらなのか。これが先ほど言った税引き前利益5パーセントということなのです。とは言っても、残高を見ると、BSやBLをチェックする監査はいろいろ科目ごとにやっています。だから、科目ごとに重要性の基準値はばらしておく必要があるのです。全部見ているわけではないですから。だから、例えば売掛金の監査をしているときに、いくらかミスを見つけました。それは、税引き前利益の5パーセント以内です。でも彼らは全部のチェックをしているわけではないですから、ほかにもあるかもしれないと、やはり思っているのです。そこまで考えているのです。だから、それに応じて、勘定科目レベルの重要性を作っています。だから、ミステイクが売掛金で税引き前利益の5パーセント以内に収まっているからといって、必ずしも通るとは限らないです。売掛金はさらにその下のレベルで重要性の基準値が決まっていて、その範囲内だったら、売掛金修正しなくてもいいけれども、ほかにもミステイクがある可能性がありますから、全体では5パーセントでも売掛金ではいくらというふうに決まっているケースはあります。例えば、重要性の基準値は全部で500だったとします。売掛金に関しては比較的リスクが高いので50パーセント、250までだったら売掛金は許しますよというのは、これは手続き実施上の重要性というものです。ですので、ここのパーセンテージは監査法人や人によって考え方が多少変わりますけれども、全部で500まで許されるからといって、売掛金でこの場合400ミスが見つかった場合は、やはり修正してくれということになります。これもあると、一応念頭に置いておいてください。5パーセント以内だったらいいというふうに言えない部分があるということです。パーセントは時と場合によって変わりますので、これは一つの例だと思ってください。税引き前利益の5パーセントもかなり参考になる数値だと思いますけれども、これも絶対ではないですから、一応参考値として捉えていただくとありがたいかなと思います。

 監査計画のところが終わって、監査チームの構成と役割分担、監査手続きのところに行きたいと思います。皆さんもよくお分かりだと思いますけれども、監査チームは大きく三つに分かれると思っていただいていいです。一番上はパートナー、監査責任者、はんこを付く人だと思っていただいていいと思います。皆さんの会社の監査報告書に名前を書いて、はんこを押している人、これでいいと思います。あまり来ないです。でも、今、論点になっている会計処理とか、誰がイエス、ノーを判断するのかというと、この人です。だからパートナーがOKと言わないと、まずダメなのです。一番皆さんが接するのは、ここの主査です。主査はマネージャーではない場合もあるのですが、大抵はマネージャークラスの人が主査とかインチャージとか主任とか、その監査法人によって名前違いますけれども、現場責任者の方がいます。取りあえず、現場はこの人に任せますという方です。この人が一番のコンタクトパーソンで、基本この人とやり取りをしていればいいのですけれども、判断を要するようなものというのは、この人は決める権限がそもそもないので、こちらに行くしかないです。ルールは明確に決まっていて、イエス、ノーというのは彼らで十分できると思います。でも、会計文書を変えるとか、ルールが決まっていませんから、それが適正な理由かどうかという話になってくると、判断になってきます。それがパートナーに相談をしないと、絶対に無理なのです。だから、マネージャーにいくら話をしていても話は進まないような場合は、必ずパートナーを呼び出すか、大先生に来てもらえないなら、行くと。たまには行ってみるといいと思います。大手の監査法人の会議室もなかなか立派なので、こういうところにお金を使われているのかなと思うことも、たまにはいいのではないかな。ただ、監査法人の費用は、ほとんど人件費なので、実はあまりあそこにはお金は掛かってないと思いますけれども。パートナーが一番大事なのです。彼らを常に見るようにしないとダメだと思います。組織で動いていますから、いちいち全部パートナー呼び出していると、ふた開けてみるとものすごく使われたので、これだけ請求させてくださいということになってしまいますから、うまく彼の連絡窓口としてこの主査、マネージャーの人を使っていただければなと思います。