14.監査補助者とは?

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 それでスタッフです。これは監査基準では補助者と言います。監査補助者です。厳密に言うと主査も補助者に入ってくるのですけれども、リアルに言うとこの人は補助者というよりは、どちらかというとパートナー代行のようなことです。パートナーは全部現場を見られませんから、現場をパートナーの代わりにまとめている人です。それで、その下に実際に作業をする補助者がいるということです。

 この補助者の方は先ほど申し上げた通り、ほとんど5年以内です。5年以内の経験がある方が補助者になっています。そろそろ5年たってくると、ここへ行きます。大抵の場合、5年もやっていれば、そんなに大きい会社は難しいかもしれませんけれども、だんだんここの担当になってきます。今、上が抜けないので、なれないです。ここにずっと、入ってから5年間ぐらいの経験方が滞留をしているというのが実情だと思います。現場で監査対応、質問を受けられる皆さんは、この人たちの対応をされていると思うのですが、あまりにもひどかったら、この人にまとめるようにしたほうがいいと思います。直接やめてくれと。いったん、この主査にまとめて、質問や監査対応させるようにしてくれというアプローチもあるかなと思います。

 現場での監査の進め方ということですけれども、このような感じになっています。現場責任者ないしはパートナーというのが、取りあえず締まった試算表ですぐ分析をして、各担当者に結果を共有します。各担当者は勘定科目レベルで分析をします。現金預金の担当になった方は、現金預金の増減表を作って、現金預金がなぜ増えたか、なぜ減ったか。売掛金の担当者であれば、得意先別にその明細を並べておいて、その取引先の売掛金がなぜ増えたか、なぜ減ったのかということを分析します。担当者がコロコロ変わる場合は、去年のこと知りませんから、去年の監査調書は見ています。一応はそこに何がしかのことが書いてあるはずです。

 ここでよく出てくるのが、そのようなことは毎年説明しているだろうと、また同じことを聞くのかという、皆さんのお叱りの声です。監査調書に全部書いてあるかというと、全部は書けないです。だから、3割から4割ぐらいは、皆さん、去年説明しただろうっておっしゃいますけれども、そんなこと1回も聞いたことないという話も結構ありますので、皆さんのほうが忘れているというのも中にはあると思います。

 次です。そんなこと毎年説明しているのだと、その面倒くさいのを通り越して、1週間ぐらいでそろそろ落ち着いたかなと思ったら、急にもう1回言われたと。この資料くださいとか、契約書を出してくれと。はんこを付いていませんでしたとか。これ、なぜそのようなことが起こるのかというと、中でチェックしているのです。先ほどの主査やパートナーとかっていうのは、やった作業を見て、現場で作業したものは当然タイムラグがありますから、それに対して、全然足りないということになります。「なんだ、お前、契約書、これドラッドじゃねえか。ちゃんとはんこ付いたものもらって来い」とか言われると、それをそのまま皆さんのところにその指示が届く。このような形になっています。

 監査人の立場からすると、いろいろなチェック全部して、監査計画、これをやっていかなくてはいけないねと考えた手続きが全部終わりました。いくつか間違いもありました。これを集計します。最終的に重要性の基準値を超えない場合は、多少ミステイクはあったけれど、そのままの決算でいいじゃないですかということで、現場では作業がおしまいになります。その後、審査があります。監査法人の中の審査が必ずあります。これはやらなければいけないことになっていて、うちのほうの法人でもありますし、大法人では当然あります。この審査でひっくり返るというケースもたまにあるわけです。パートナーも「OKだ」というふうに言ったのだけれども、最終的に審査で「ダメでしょ、これ」というふうにひっくり返るケースがあるということです。皆さんからしてみると、ひっくり返るケースってすごく多いわけです。まず、去年から引きついでいなかった。担当者に対して指示を出したけれども、社内で主査に見られてはね返されました、パートナーに見られてはね返されました。最終的には、審査に見られてはね返されました。はね返されるピンチが3回、4回あるわけです。というのは、こういう流れで彼らは仕事をせざるを得ないからということです。