監査期間の延長を企業に要請する必要はありません

アルテからのお知らせ会計監査情報

関根日本公認会計士協会の会長が、企業に監査期間の延長を要請したと報道されています。
私はこの要請は必要ないと考えています。

前提として、監査時間を十分に確保する、ということについては賛成です。アメリカと比較しても監査時間も監査報酬も日本は低すぎるという事実もあります。

しかし、そもそも決算短信という速報を企業が出す時点で、監査が終了していてほしいという暗黙の了解をなくせば問題は解決です。監査はそれから時間をかけて対応していけばよいだけです。自主的に開示を早くしたい会社は自分達でやればよく、あとで監査の結果、修正が多発するような会社は、後日、投資家から内部統制がしっかりしていないことがはっきりしますし、よりフェアなのではないかと常々思っています。

先に監査法人に念のため、とチェックを依頼し、監査時間を実質的に奪いつつ、公表したらそう簡単には修正できないだろう、という暗黙の了解さえ解消すれば、問題は解決するはずです。

制度ではなく、運用がおかしくなっている部分を明示し、訴えていく広報活動こそ、今の公認会計士業界にとって必要なのだと思っています。