東芝の決算発表に監査法人の承認は必要ありません

会計監査情報

昨日、東芝が決算発表をしましたが、監査法人の承認がなく暫定発表であったと報道されています。そもそも決算短信は監査対象ではありませんから、ほとんどの会社が監査終了前で発表します。実態は、あとで修正が入ったりすると、会社も困りますので、事実上、決算短信公表前に監査手続を終わらせておくというのが慣例になっています。この点、私には意見がありますが、今日のテーマの本題ではありませんので、省略します。

問題はいまだに2016年12月第三四半期のレビュー意見をとっていないことです。

昨日の数値によりますと、大幅に債務超過になっていますし、変更をぶち上げた監査人についても、あらたで継続、ということで、このままでは、年度の監査意見が出そうな気配がありません。

私も購読する闇株新聞では、東芝の子会社であるウェッチングハウスを会社更生を申請し、連結から外しているが、PwC傘下のあらたが承認をするはずがない、理由はそれがアメリカに不利に働くからだ、という指摘をしています。これを避けるには無理をしてでも、アメリカの影響のない監査法人を選び、6月末の監査意見を引き伸ばしても、やりきるしか上場維持を維持できないと意見を述べています。

これについて、私も意見はありますが、結果としてそのような監査人を見つけることはできず、今はどうしようもない状態に陥っています。こういう非常事態に、サラリーマン経営者は弱いなと感じます。彼らにとって、最悪の状況は会社がなくなるか、クビになるかでしょう。オーナー経営者では、個人資産もすべて失う、創業者としても名誉も失います。だからこそそもそも安易なことはできません。一方で創業オーナーであれば、個人資産もそれなりにあるでしょうから、例えば大塚家具のように、創業者が大塚家具をやめても、自身で別会社を立ち上げるなどの選択肢ができます。

いずれにしても、これだけの状況に陥っても上場廃止にもならない東芝の今後はどうなってしまうのでしょうか。

上場廃止を覚悟すれば、半導体ビジネスを売却する必要もなくなります。上場廃止をして、法的整理、その後再生、あるいは、MBOをして再上場、というのが一番ありうる選択肢だと思います。しかし、もっともっと早く手は打てたはずです。多くの東芝関係者は日々真面目に仕事に向かっているはずです。少しでもそういった方のご苦労が早く解消されることを祈念します。