富士フィルムもながの東急も不正で決算発表延期

会計監査情報

富士フィルムもながの東急も不正で決算発表が遅れています。
粉飾決算や不正には、何度か触れてきていますが、その防止策と実態について触れておきたいと思います。

分かりやすい例で、会社の現金を不正に使われないようにするために、何が有効でしょうか。

教科書的にいうと、金庫でお金を出し入れする人と、入出金の記録をする人を分け、相互チェックをさせることが有効です。多額の現金を扱う場合には、もっと多くの人にチェックをさせていることもあるでしょう。しかし、手元に5万円くらいしかキャッシュがない場合にはどうでしょうか。キャッすの管理に2人も人を雇っていたら大損です。したがって、最悪5万円は持って行かれても仕方がないと考え、2人での管理はさせないはずです。

要するに不正防止のためにダブルチェックは、費用対効果でやるやらないと決めざるを得ないのです。

また、トップの責任は非常に重いです。最終責任は会社のトップにあります。不正防止策の費用対効果の判断があやまっていたとしても、それはトップの責任になります。

大きな企業ですと、社長が実際の入出金をすることはないはずです。決裁をすれば、それを確認し、そのとおりに支払いがされ、それ結果を誰かがチェックしています。

しかし、これが子会社になると社長が1人でやらなければならないこともあります。特に海外の子会社を立ち上げた直後などはこんなケースも珍しくありません。しかも売上が立たず、余計な人件費が使えない場合には、社長が自らキャッシュの管理をすることになります。ここで、一皮むける方は、創業の厳しさを知り、自分の幅を大きく広げます。しかし、は何でこんなことまで自分がやるんだ、こんなことやってられん、分からん、と業務から逃げてしまう方もいらっしゃいます。そうした無責任の積み重ねで、不正はおきます。

社長の責任は不正防止にはそれだけ重く、名ばかり社長で中身は事業部長、という状態では不正も起きやすいのです。グループ会社での不正が最近目立っている理由の1つはこうした背景があるのでしょう。