16.監査ではPLよりもBS

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 最終的に監査はバランスとして、特にPLよりもBSから見ています。BSのバランスをきちんと見ていくと、やはり理由があるはずなのです。説明が付くはずなのです。経理の数値というのは、実際のビジネスを数字にしているだけです。その動きは実際のビジネスで絶対に説明が付くわけです。だから、基本は前期と比較して、その増減の説明が付かない場合は当期が間違っている可能性があります。そこをしっかりと説明できるようにしてください。
 それでもどうしても説明が付かない場合は、怖いですけれども、前期が間違っていることもたまにあります。前期の数字が間違っているので、当期の説明ができない。これはあるのです。どうしても解が出ない場合は、前期を疑ってみてもいいかなと思います。大半は今の走っている会計期間の処理が間違っているので、ぜひそこをチェックしていただきたい。これをやると監査対応にももちろんなります。監査対応が非常に早く行くよねという話になりますけれども、事前の数値の逆反的なチェックにもなるので、ぜひこれは取り組んでいただきたいと思います。一つ大きなポイントとしてはこれです。それは経理部長の頭の中でやっていますとか、経理部長のメモ書きでやっていますというのをやめましょう。形にしましょう。経理部長がいなくなってしまったら終わりですから。あるいは、経理部長が会議でいない日は監査が進んでいないのです。そういうことはやめてください。ぜひ形にしてください。基本は、その担当であれば、誰でもその作業ができるような形を目指してください。これから社内で担当が変わる可能性があるじゃないですか。さらに言うと、誰が見ても分かりやすいものにしてください。というのは、それを見る監査人は毎年変わっていますから。それによって、皆さん結構迷惑被ってしまうわけです。去年言ったことも分からない。でも誰が見ても分かること、去年言ったこともそこに書いてあるとなると、一応、いくら経験がないといっても、アホではありませんから、彼らは十分分かります。誰かに見られるという視点でその分析資料を作っていただくと、監査対応というのに非常に早くなってくるのではないかと思います。
 なので、監査の日程もよく考えたほうがいいです。監査法人から「これでやります」と言われる通りに受けないほうがいいかもしれないです。通常の場合、どのようなスケジュールで来るかというと、例えば前の週の金曜日や土曜日に締まると次の週の月曜日から来ます。これを場合によっては1日、2日遅らせてもらうという手もあります。その1日、2日で何をやるかというと、これをやるのです。そのことによって、結果としてトータルの監査工数は大幅に減ると思います。まだ、場合によっては金曜日に締まったのだけれども、いろいろな事情で月曜日にまだ締まっていませんでした。締める作業をしながら、試算表を出して、数字が変わりました。試算表が変わりました。こういうやり取りをやっている中で監査をやると、手戻りは結構多いです。手戻りもなくす。自分たちがやらなければ、事前にやる準備には分析資料、ぜひ作ってくださいということを申し上げましたけれども、その分析資料作るといっても、今までと同じ日程ではできません。同時並行でやると、またすごく経理部長や経理課長の残業や休出でこれを対応しなければいけないという話になってしまうと本末転倒なので、監査のスケジュールを場合によっては見直す。1日、2日遅らせる。いきなり来週から動かしてくれって言うと、困ると思うのですが、監査契約するときに、きちんとその調整をしていれば十分対応できるはずです。そういうタイミングをねらって、スケジュールのほうも考えていただけるといいのかなと思います。これ、きょうお伝えしたいことの大きな論点です。分析を社内でしてください。ぜひ、誰が見ても分かるような形にしてください。紙ではなく、データでもいいです。経理部長の頭の中だけにあるという状況はできる限り避けてください。こういうところが一つの論点かなと思っています。