子会社粉飾決算が頻発する要因

会計監査情報

また子会社での粉飾決算が報道されました。最近、私にとっては気になるニュースです。

子会社には監視の程度が、親会社と比較すると薄くなること、そして、いわゆる内部統制は経営者次第、ということが問題になります。いわゆる創業オーナーも粉飾はします。銀行融資や公共事業への入札のために粉飾をすることもよくあります。

しかし、万一、その粉飾決算が明るみに出た場合、すべての責任を負います。会社の名誉も失います。社員や取引先からの信頼も失います。資金調達が必要であれば、個人資産を出す、担保を入れる、個人保証をつける、あらゆる方法をつかって会社のためにやりきるしかありません。

一方でいわゆる子会社の社長の責任は最大で、会社をやめることです。負っているリスクが全然違います。また子会社社長は実質的には、グループ内で見ると一部門長としての業務をしていることが多く、ビジネス全体に精通しているとはいえないケースも多くあります。

したがって、粉飾の重要性、あるいはそれが明るみに出た時の影響などを受け止めきれらない実質上の1つの部門長が、事の重要性を理解せずに承認をしてしまっているか、あるいは社内でも騙され、粉飾を見逃している可能性もあります。

粉飾を防げるかどうかは、技術的にいっても、社内の雰囲気の観点からいっても経営者次第なのですが、特に粉飾決算をおこしてしまうような子会社の場合、実質上経営者ではなく、一部門長としての業務しかできていないことも多いでしょう。事実上の経営者不在が、子会社粉飾決算が頻発してしまっている要因だと感じます。

これを社内チェックで防ごうとすれば、ただでさえスピード感の乏しい日本企業の意思決定はますます遅れ、社内向けの仕事に忙殺されることになります。やはり、本当の経営者を作り切ること、それができないのであれば、子会社をむやみに増やさないこと、これがポイントになるでしょう。