6.会計監査を理解する意義とは?

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 会計監査のことを理解する意義ということで、いろいろと書いてあるのですが、今、監査報酬はすごく下がっていますので、監査コストの削減というのは、ある程度行くところまで行っているのかなという感じがしています。監査法人のほうは大幅に何かを変えたというのは、僕はないと思っています。大幅に何かを変えたと思ったのは、リストラをやったということぐらいで、やっていることはあまり大きく変わっていないと思うのです。その中で、これだけ報酬を下げていますから、そろそろ限界なのです。このままではこれ以上監査報酬はきっと下がらないです。皆さんここで何か対応しなければ。あるいは、皆さんが非常にいいお客さまであって、今まで価格交渉されていないということであれば、十分あり得ると思いますけれども、結構チマチマ交渉を重ねて来られたということであれば、なかなか難しいと思います。効率的な監査の受け方というものがあるのではないかなと思います。そのためには、二つ目の項目になりますけれども、監査の一連の流れというものを、きちんと理解していただきたいと思っています。彼らがやること、何のためにそのようなことをやらなければいけないのかということを知ることによって、事前に手を打てることはいくつもあると思うのです。そちらに行って、少しでもご参考になることを申し上げられればなと思っています。ということで、全体像に移ります。

 この辺はサラッと行きたいと思います。監査は、上場会社は当然金商法でやらなければいけないですし、会社法の代理会社というのも監査を受けなければならないですし、学校法人、労働組合、独立行政法人、その他もろもろ法定監査を受けなければいけないところもあります。決められているので、仕方がないから、監査を受けなければいけないという部分は当然皆さんお持ちだと思うのですが、一方で、粉飾決算の問題はいまだ後を絶ちません。ただ、皆さんも取引先の、例えば与信調査や新規の取引先の口座を設定するときなどに、いい上場会社の決算書をご覧になるケースは多いと思うのですが、ほとんど100パーセント粉飾しています。僕はそう思います。粉飾というのは、本当に業績が悪いのに、利益があったように架空の売り上げ上げてしまうのか、架空の在庫を上げてしまうのか、こういうことをやっています。売り上げのいずれも、普通やります。少し業績が悪いときに、決算月に知り合いの会社に売って、4月に買い戻してしまうとか、このようなことは普通にやります。逆に業績がいい会社、これは粉飾とは言い切れませんけれども、節税のために保険を払ったり、今リースの節税がかなり流行っていますけれど、これをたくさん買ったりして、損益を増やしてしまいます。そうすると決算書を見たときに、損益トントンなのだけれど、本当はこの会社はもうかっているのか、あるいは、もうかっているから節税のために損益ガンガン入れるために費用を費やしているのか。あるいはもうかっていないのに、なんとなくその辺売り上げ計上ずれなどをやって、なんとか利益を出しているのか、全然分からなくなってしまうのです。と考えると、監査は結構いいのではと思います。そこまでひどい粉飾決算が常日頃行われるかというと、そんなことはないです。あと、皆さんももし粉飾決算をしなければいけないと思ったら、取りあえず監査を通さなければいけないです。大変ですよね。モチベーションが下がりますよね。あまりやりたくないです、皆さん。社長に「ちょっとお前粉飾してくれ」ってそこまでストレートに頼まないと思いますけれども、言われたときって、やはり嫌じゃないですか。でも、誰もチェックする人がいなかったら、仕方がないという感じで行きませんか? 僕は結構いるだろうと思います。かつて、粉飾決算を社長から指示されてやらざるを得なかった上場会社の財務担当役員の方に話を聞いたことがあるのですが、絶対にやりたくなかったらしいのです。それはそうですよね。絶対やりたくなかったのだけれども、管理部門の方々の生活もあるし、やらざるを得なかった。「ダメだ」って言われたら、自分その場で首になってしまうし。それで、何をその方は考えたかというと「やるのだけれどもバレやすくした」と言っていました。そうすれば、監査法人が見つけてくれるのではないかとか、外部で誰かが見つけてくれるのではないかと。「分かりやすい粉飾をした」と言っていました。結果それは監査で分かったのですけれども、監査法人が監査をすることによって、少しタイムラグはあったのですが、発覚しました。そういう一定の機能は実際にあるのではないかと思います。第三者に何かを見せなければいけないという緊張感を保つために、いろいろなチェックを受けるのは大事なのかなと思っています。