退職給付会計基準の改訂にあたり、ASBより公開草案が提出され意見のある場合には、平成22年5月31日までにASBに申し出る。

【関連基準】
企業会計基準公開草案第39号「退職給付に関する会計基準(案)」
企業会計基準適用指針公開草案第35号「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」

【適用開始時期】
平成23年4月1日以後開始する事業年度より適用。早期適用可。=以下(1)のみ
平成24年4月1日以後開始する事業年度の期首より適用。早期適用可。=以下(1)以外

【基準の要旨】
(1)退職給付債務および勤務費用の算定方法として期間定額基準と給付算定式による方法を採用可。
   割引率を実態に応じた複数のものを使用することを原則とし、容認的に加重平均割引率の使用が可。
   退職給付の予定昇給率につき、従来「確実に見込まれる」昇給等を考慮すれば足りたが、
   「予想される昇給」を含めることになる。
(2)未認識項目の処理をオンバランス処理。ただし、PLには影響なく、
   税効果考慮後の金額でその他の包括利益を通じ、その他包括利益累計額として計上する。
(3)開示の拡充=注記類がかなり増加する
(4)勘定科目等の変更
   退職給付引当金→退職給付にかかる負債
   前払年金費用 →退職給付にかかる資産
   過去勤務債務 →過去勤務費用
   期待運用収益率→長期期待運用収益率

【損益上想定されるインパクト】
期間定額基準を含む他の方法から、給付算定方式へ変更する場合に損益への影響がある。

【BS上想定されるインパクト】
過去、オフバランスとされていた未認識数理計算上の差異などの未認識項目がその他包括利益累計額としてオンバランスされる。

【実務上のポイント】
1)割引率の算定方法、予定昇給率の算定方法は数理計算人も含めて事前の十分な検討が必要。数理計算人の計算時間も考慮すると、早めの対応が重要。
2)期間定額基準を含む他の方法から、給付算定方式へ変更する場合に、給付額が著しく後期に高い水準となる(=当面のPBO、勤務費用が少なくなる)場合には、期間定額への補正が必要。
3)BS、PL、包括利益にも影響があることから、事前に数理計算人を含めたシミュレーションを行い、決算処理方法を決定することが重要。
4)本基準に続き、IASBの検討進捗に伴い、退職給付会計基準については改訂が予定されているので注意を要する。

【開示例】
企業会計基準適用指針第20号 セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針 開示例1